「サヨナラ、民芸。こんにちは、民藝。」

「小鹿田焼展」好評開催中です。
YOUYOU通信を作成するべく民藝についての書籍を読み始めたら迷い込んでしまい、全くまとめることができないまま、どんどん品薄に。今回YOUYOU通信間に合わなさそうです。楽しみにしてくださる奇特な方に申し訳ないです…。
たった今読んでいるのがこちら、『サヨナラ、民芸。こんにちは、民藝。』。

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濱田琢司×久野恵一、尾久彰三×豊島愛子、志村ふくみ×近藤高弘、岡村美穂子×千宗屋、エフスタイル×田中敦子、馬場浩史×北村恵子&テリー・エリスといった面々の対談がまとめられています。
この本を読んでいると民藝というものにどんどん引き込まれていきます。様々な立場の方々の色々の考えを読むことによって、民藝への興味は膨らむばかり。そして『民藝というのは表面的な形式ではない。スピリットなのだ』ということだけが今の私のわかっていること。民藝のスピリットは色々な面からなる多面体で、そのひとつひとつが深すぎてとても一言では語れないのです。
現代日本というものは柳の理想とするそういったスピリットとは逆のベクトルで積み上げられてきてしまったのだなぁ。なんてことにも想いを馳せたり…。
どの対談も興味深かったですが、スピリットということに関して言えば岡村さんと千さんの対談だけでも読んでいただきたい。


さて、この本の中に小鹿田焼について語られたエピソードも出てきます。
久野恵一さんのお話の中です。

「小鹿田焼にいったとき、鈴木(繁男)さんは陶工の一人の方に深々と頭を下げて、「あなたが小鹿田の青土瓶をこうしてつくってきたまさにそのことが、民藝を今でも続けさせる大きな力になったんだ。それを柳にかわってお礼をいわなきゃならないんだ」ということをいいました。その後、何年かして小鹿田焼の坂本茂木さんが民藝館賞をとったとき、鈴木さんが賞状を渡すことになったんですが、震えてるんですよ。「どうしたんですか」と聞いたら、「この俺が坂本茂木に賞状を渡す。この世界の中できわめてすぐれた工人に賞状を渡す。これは本当は逆なんだ」というんです。僕はかっこをつけてるんだと思ってたの。ところが亡くなる二年ほど前に、「久野君、僕は君といろいろ歩いてきたけど、一番うれしかったのは何かというと、君が小鹿田に連れて行って坂本茂木に礼をいわせてくれたことと、自分が賞状をその坂本茂木にわたせたこと。それが一生の中で大きな思い出になった」といわれました。
その時に気がついたのは、私自身の一生というのは、そういう工人、光が当たるかわからないけど、すぐれた工人がまだまだいて、その技術やら伝承をきちんと残して後世に伝わるようにすることが自分の役割じゃないかな、と思ったんです。」


小鹿田焼展を始めてからたくさんお問い合わせもいただいています。
それだけ求められている器なのでしょう。
民藝ブームという言葉がありますが、それだけではないと思うんです。民藝のスピリットはきちんと根付いてそこにあるんじゃないでしょうか。そう信じたい。

だいぶ数も少なくなりましたが、素敵な器たち、まだまだ揃っています。
どうぞこの機会に『民藝』を手に取ってみてください。きっと親しみが伝わってくると思います。


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by g_yoyo | 2016-01-27 11:00 | つれづれ。 | Comments(0)

茨城県笠間にある陶芸ギャラリー曜燿のブログです。


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