近代美術館『ベン・シャーン展』

遅ればせながら、近代美術館で開催中の『ベン・シャーン展』に行ってきました。

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リトアニア生まれのベン・シャーンは一貫して人種差別や迫害、貧困などのテーマに取り組んできました。
きれいな色彩の水彩画やユーモラスなタッチの線画なども多く、いいなぁと思うのですが、作品を見ているとやはり心がギュッとなるものが多いです。
会場では第五福竜丸事件についての絵本が読めるのですが、改めて放射能の恐ろしさが胸に迫りました。

個人的には、とてもタイムリーな展示だったと思いました。
どうしてか、人間の狡さや身勝手さは大人になっても押し込められたりしない(こともある)。
大人になればなるほど恐ろしい結果を生んでしまう。

「子供はすべからく天使だなんて言う大人は自分たちが子どもだったころのことを忘れてしまったんだろう」みたいな文章がケストナーの本のどこかにあったけれど、子供って結構残酷だったり乱暴だったりしたから、大人になればきっとそうでなくなるのだろう、だって、先生やテレビに出ている人たちはあんなにお行儀がいいのだから…そんなふうなことを考える子供だった私は、それでもたまに、「大人なのに、どうしてこんな酷い人がいるのだろう」なんて憤慨することがあったし、ごく最近まで、「どうしてこんな大人に??」と疑問に思うような人を見かけることもあった。そうしてようやく気がついたのが、「あ、別に『大人』になっていない人も想像以上にいるんだ」ということ。ずるかったり、残酷だったり、自分勝手だったりしたままに歳だけ重ねてしまった、そうして、さらに権威まで身につけてしまった、一見大人なだけで、中身はアニマルという人もいるのだと。

そうしてそれはなにも虐げる方だけがそうなわけじゃない。虐げられる方も、そうだったりする、ことがある。
きちんと『大人』になっていないということ。
こうやって、この文章を書いている私も、そうだったりする。
せめて気がつかなくちゃ。きちんと目を覚まさなくちゃ。酷いことが起きないように。

アートはいつからか、そういう闘いをしてきた。時々こうしてこのような展示を観て、はっとさせられることが私には必要です。私は日常の中でそういうことをまた忘れていってしまうから。観に行けて本当に良かったです。

『ベン・シャーン展』は明日7月5日(日)までです。雨の日のお出かけに美術館、いかがでしょうか。


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by g_yoyo | 2015-07-04 11:00 | ちょっとお出かけ。 | Comments(0)

茨城県笠間にある陶芸ギャラリー曜燿のブログです。


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